【読書感想】3ヶ月後に読み直したい「再発見の発想法」

「専門用語はなるべく使わないこと」と教えられていたこと

広く分かりやすく説明するためによく言われることですし、私自身も肝に銘じていることです。 例えば、アサインだとかコンセンサスだとわかりづらいですね。「調整する」「了解を取っておく」とか誰にでもわかるような言葉を使ったりすることがよいでしょう。 あるいは、「Aという会社がブルートフォースアタックで情報漏えいの恐れ」というニュースを見たとしましょう。専門家には「ああ、総当り攻撃で不正アクセスがあったのね」とすぐに理解できます。しかし、ネットワークのことを知らない方には何があったか分からない。 そういった人に説明するときは「3桁の錠前を000から999まで総当りで探すといつか解錠できるよね、という考え方の総当り攻撃です」というようななるべく難しい前提知識を伴わない言葉で説明するほうが望ましい。それが相手のことを思った說明というものでしょう。 さて、「再発見の発想法」はそういった『専門用語』をふんだんに扱っています。なんなら、ITエンジニアでない人が目次を見ても分からないでしょう。でも、わからない人に読んでほしい。わかる人ならもっと読んでほしい1冊です。

「再発見の発想法」の読み方

この本を読む目的として、社会的にもよく使われる『IT専門用語』の勉強ができます。後述しますが、前提知識のない人にも視線を合わせた本になっています。勉強のために、と思う方がいたらぜひ読んでください。 それから、この本の真のターゲットは『専門用語』をよく使う人にこそ合わせられています。 タイトルのとおり「再発見の発想法」を記しているとおりです。すなわち、既に理解した「専門用語」を汎化して、ITエンジニアリングではない「日常」からその理解を見つけ出すことを気づかせようとしているのです。

この本の構成は、ひとつの用語ごとに次のような構成で書かれています。

  • 専門用語の定義
  • 具体的な専門用語の説明
  • 日常生活で例える専門用語

専門用語を知らない人がこの本をちゃんと読もうとすると、少し大変かもしれません。

私が思う読むコツは、専門用語の定義や具体的な専門用語の說明の部分はだいたい流し読みにしてしまうことです。図や分かりやすい表現を使って說明してくれていますので、厳密に完璧に分からなくたっていいでしょう。感覚的に意味合いをつかめれば十分だと思います。なんなら、勉強する人がこの部分で用語の意味をほとんど理解できなくてもいいとさえ言っておきます。

後からちゃんと分かるところがあるので。

逆に専門用語を知っている人は、もし急いでいるなら定義と具体的な説明は飛ばしてしまってもいい。ただ、個人的には博識で分かりやすいことで定評のある結城先生の本ですから、そこから既に「再発見」があるかもしれません。それに、結城先生の文章は楽しいので、読んでいるだけで嬉しくなります。

日常生活で例える専門用語の出会い方

この本の一番の注目したいところは「日常生活で例える専門用語」の部分です。 例えば、「再発見の発想法」の項目には先ほど出した「ブルートフォース」の項目があります。

日常生活では、ブルートフォースな方法をよく見かけます。書店で目的の本を探すときに、本棚を橋から順番に探すことはよくあります。これはブルートフォースな探し方といえます。

以上、引用です。

実生活にあるような例えをしてくれており、より直感的に言葉の理解が結びつくでしょう。専門用語を勉強したい人は、ここから振り返って読むとちゃんと専門用語を理解できるかもしれません。

専門用語を知っている人には、パラダイムシフトが起きるかもしれません。私は何度も起きました! 専門家はどうしても言葉の定義に頼って頭が凝ってしまいがちです。それを日常生活を例示してうまくほぐしてくれる新鮮な目線を与えてくれます。「そうか。改めて考えてみればこれも「ブルートフォース」だ」という気づきです。

「再発見の発想法」の目的

この本の目的はその先にあります。ああ、申し訳ない。実は、先程書いた3つの構成は完璧ではありません。ひとつ書き忘れていました。各項目の最後には必ず設けられています。

  • 専門用語の定義
  • 具体的な専門用語の説明
  • 日常生活で例える専門用語
  • 「あなたも、考えてみましょう」

項目お最後に、読者に対して自分自身で「その言葉を日常生活でどう当てはめられるか」「その言葉によって日常生活の中から新たな発想や便利さに来づけられないだろうか」という「問い」をそっと置いてくれています。

もちろん、その「問い」にどう答えるかは読者の自由です。そもそも読んでいたら問いを投げかけられる前に「生活に役立つ嬉しいこと」に気づいてしまうかもしれません。

本を読んだ直後に答える必要もないでしょう。ただ、その「問い」を頭の片隅に置いておけば、あるときふとしたきっかけで「とんでもないアイデア」が浮かぶかもしれません。

確かに言えることは、専門家にありがちな凝り固まった世界観に囚われていることから解き放ち、なんでもない日常生活から素晴らしい気づきを得る発想法をこの本が与えてくれます。

技術用語を通して日常生活に新しい発想を得よう

数日前に読み終えましたが、すぐに読み返す本ではないです。

私もエンジニアの端くれですので、言葉自体はほとんど知っていますし、その中で知らなかったことも分かりやすく語ってくれたおかげで言葉の定義としてはすぐに再理解ができましたから。

それより、3ヶ月か半年、1年ごとにパラパラと読み返してみたい本です。失礼、電子書籍で買ったのでペタペタのほうが正しいかもしれません。

「そういえばだいぶ時間が経ったけど、あの問いに私はいいアイデアを答えられるだろうか?」と今からワクワクするのです。 結城浩先生の「再発見の発想法」は、紙書籍でも電子書籍でも販売されています。立ち読み版もあるので、試しに読んでみてほしい1冊です。

蛇足:私のTweet

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