ネットを通じた本人確認の良いこと悪いこと

セブン銀行が顔認証のATM導入というニュースがでた。
ニュースによると、口座開設をATMからできるようにすることを目的としているようだ。

セブン銀行が顔認証のATM導入 - 共同通信

口座開設の本人確認は、先日まで申請手続きはネットでできたが、郵送で簡易書留を送るなどして本人を確認するなどの方法を行わなければ、それを認められていなかった。
しかし、昨年11月に犯罪収益移転防止法(以下「犯収法」という。)の施行令や実施規則が改正されたことによって、ネットを通じた本人確認のみでよいことが認められた。

犯罪収益移転防止法 同施行令、同施行規則など - 警察庁
犯罪収益移転防止法 施行規則の改正について - 総理官邸

これにより、郵送のぶん1日以上は時間がかかっていたものが、遠隔地でも数十分でできるようになったというわけだ。
この流れは、FinTechなどの活用を掲げている政府の「未来投資戦略」に沿えば、当然の流れだったと言える。また、本人確認書類の受け渡しが事実上の条件となっている以上、対面でなければならない理由もない、といったところだろう。

もちろん銀行口座は、ほとんど普及しているものだし、急ぎでなければならないようなものともあまり言えない。
考えられるのは、
  1. NISAやiDecoといった証券口座などの開設を簡便化することによる家庭からの投資を促すこと
  2. 地方銀行などの店舗が特定地域に限られる金融機関や海外にいる顧客などに対してでも顧客を確保しやすくすること
  3. 郵送確認などの費用をカットした低コスト化
といったメリットがあるだろう。

一方で、そもそも本人確認を何故するのかというのは、法律の名のとおり、暴力団やテロリストなどが犯罪によって得られた利益の流れを止めること、つまり、マネーロンダリング(資金洗浄)を防ぐことが目的の一つである。
今回のネットのみの本人確認は規制緩和であるから、今後口座開設のハードルが下がったのは否めない。裏を返すと、振り込め詐欺などの危険性が強まる可能性も秘めていると。
まだそんな話も出ていないが、いずれ悪用される抜け穴が顕在化する可能性はある。また、インターネットを通じた本人確認ができるということは、海外からもできるということなので、国家レベルでの犯罪の余地がある可能性も考えられる。
警察当局や金融機関は、まだ未知の犯罪に対しても考慮した上で、啓発に努めるべきだと言える。

セブン銀行のそれも、コンビニATMを利用している、ということだから、電話を通した振り込め詐欺の延長で口座開設の時点から騙される・・・こともあるかもしれない。現実的には、その段階で金融機関によって止めることができる余地はあると思われるが、警戒は必要だ。

コメント

このブログの人気の投稿

リモートワークをLogicoolのマウスとキーボードで複数PC切り替えて優勝した

VBAでのInterfaceやキャスト

SUPERHOTがいかにSUPERHOTか語りたい