ZEDIとは

ZEDIとは

ZEDIは、全銀EDIシステムの愛称である。
企業の決済事務の効率化、生産性の向上に向けて、企業間の銀行送金電文に取引明細情報や、


まずもってEDIとは

EDI情報と呼ばれる振込などの際に付加できる情報があるが、現在は20文字程度である(参考:セブン銀行FAQ
せいぜい、振り込んだ人の氏名だけ、とか、商品名だけ、とか、注文番号だけ、といった限られた情報しか送ることができず、振込情報と紐付ける情報としては十分とはいえなかった。
それにより、極めて限られた情報で振込情報と実際の注文とを比べることしかできず、自動的に作業ができる余地は限られていた。

ZEDIではEDI情報はどうなるか

ISO20022の適用

XML情報として紐付けることができる。XML情報での上限は不明だが、実証実験ではISO20022(金融通信メッセージの国際規格)に基づいた電文で実験されており、実際に運用開始された場合にもそれに準拠した情報が授受できると考えられる。

ISO20022によって事務はどうなるか

振込情報に具体的な情報を付与することができる。それにより、支払事務の効率化や受け取り側の消込作業を、現状よりも確実性を高めて機械化することができる。

具体的にどのような情報を付与できるか

具体的には、“支払通知番号”“支払通知発行日”“請求書番号”などを多く付与することができる。
また、XML自体は、拡張可能なマークアップ言語なので、支払側・受取側の双方の仕様があってさえいれば、どのような情報でも付加できる(はず)
ただし、全銀ネットワークのホームページを見る限り、「全銀EDI情報標準登録制度」というものがあり、標準化を目指した運用がされることが実際の動きに成ると思われる。
この「全銀EDI情報標準登録制度」によって現在わかっているのは人全国銀行資金決済ネットワーク(以下「全銀ネット」)が示しているシンプルなもの一つ(S-ZEDI)であるが、運用開始にともなって企業によって増えるものと思われる。

S-ZEDI

概要

全銀ネットが用意する、S-ZEDIは、WEBブラウザ上の画面入力により、 金融EDI情報を添付可能な振込電文(XMLファイル)を、簡易に作成可能とする機能。無料で利用できる模様。PDF
使用方法としては、支払い側がZEDI情報を作るときに、WEBサイトから利用するものと想定される。

情報

実際に使える情報は、以下が示されている。具体的には全銀EDI情報標準「S-ZEDI」情報項目一覧等pdf参照。
# 情報項目名 定義内容
1 業界区分 Z01 (業界ごとのEDI標準を判別するための区分)
2 データ区分 001 (業界区分ごとに、手続き内容を判別するための区分)
3 支払通知番号
4 支払通知発行日
5 請求書番号(入力推奨)
6 支払人企業法人コード(入力推奨)
7 受取人企業法人コード 受取人企業の法人番号を入力してください。
8 請求先企業名
9 請求先企業法人コード
10 支払金額(明細)
11 金額相殺理由
12 相殺金額
13 税額1
14 税率1
15 税額2
16 税率2
17 税額(合計)
18 備考

想定 

推察するに、支払処理を行う上での最低限の情報を出しているものと思われる。確かに、これらによってある程度注文との結びつけが可能になるだろうし、これが実質的におよそ一般的な利用をされるときのベースの情報になるものと思われる。
もっとも、企業の支払い側と受取り側が共通仕様の情報であれば問題ないはずで、今後他の規格がでてくるものと思われる。想定としては、業界での統一規格やそのグループ企業の統一規格、ベンダーが提供するシステムの共通規格などがあるだろう。

実際のXML情報

全銀ネットからサンプルが提供されている。ただし、ZEDI部分のみと思われるもので、実際にはここに振込情報などが付与するものと考えられる。(サンプルでは、XMLというよりただのマークアップなので・・・)
以下にサンプルをそのまま引用する(引用元)。それぞれの項目の情報がそれぞれ何を指すかは、全銀EDI情報標準「S-ZEDI」情報項目一覧等pdfを参照。
※実際には、この上位に支払い情報が付与される。


<EDIInf1>
<SubsetSpecifiedID>Z01</SubsetSpecifiedID>
<BusinessProcessSpecifiedID>001</BusinessProcessSpecifiedID>
<ExchangedDocumentID>123456-01</ExchangedDocumentID>
<IssueDateTime>20181225</IssueDateTime>
<IssuerAssignedID>A-123456</IssuerAssignedID>
<PayerID>1234567890123</PayerID>
<PayeeID>3456789012345</PayeeID>
<BuyerName>全銀商事</BuyerName>
<BuyerID>3456789012345</BuyerID>
<PaymentTotalAmount>10800</PaymentTotalAmount>
<TaxCalculatedAmount1>800</TaxCalculatedAmount1>
<TaxCalculatedRate1>8</TaxCalculatedRate1>
<TaxTotalAmount>800</TaxTotalAmount>
<Content>サンプルデータ</Content>
</EDIInf1>
<EDIInf2>
<SubsetSpecifiedID>Z01</SubsetSpecifiedID>
<BusinessProcessSpecifiedID>001</BusinessProcessSpecifiedID>
<ExchangedDocumentID>123456-02</ExchangedDocumentID>
<IssueDateTime>20181225</IssueDateTime>
<IssuerAssignedID>A-123456</IssuerAssignedID>
<PayerID>1234567890123</PayerID>
<PayeeID>3456789012345</PayeeID>
<BuyerName>全銀商事</BuyerName>
<BuyerID>3456789012345</BuyerID>
<PaymentTotalAmount>21800</PaymentTotalAmount>
<BalanceOutReasonDescription>無し</BalanceOutReasonDescription>
<BalanceOutCalculatedAmount>0</BalanceOutCalculatedAmount>
<TaxCalculatedAmount1>800</TaxCalculatedAmount1>
<TaxCalculatedRate1>8</TaxCalculatedRate1>
<TaxCalculatedAmount2>1000</TaxCalculatedAmount2>
<TaxCalculatedRate2>10</TaxCalculatedRate2>
<TaxTotalAmount>1800</TaxTotalAmount>
<Content>サンプルデータ</Content>
</EDIInf2>
実際のイメージ

まとめ

2018年12月を目処に全銀ネットが運用開始に向けて準備をしている。また、企業についても、システムのアップデート等や新規提供を狙っているものと思われる。一般企業にとっては、事務の効率化を狙えるものであるので、自動化を目指せる余地が増えるだろう。
一方で、裏を返していえば、ZEDI情報を利用するには、システム化・機械化が必須である。また、支払い・受取りが共通仕様の情報を授受する必要があることから、取引先に対応を求める必要もあり、普及には双方の利害が一致する必要があるし、それを社会的に周知されなければならないだろう。
大企業は、自社のシステムを改修する必要があるので相応のコストが掛かる。それに見合うものになるのかが目安の一つになる。また、中小企業・零細企業にとってはそもそもシステム化していない企業も少なくない。そういった企業が簡便に使えるような環境・ソフトを充実させる必要があるし、低コストで導入できるようになる必要もある。その観点では、S-ZEDIは一つの選択肢になるが、これを利用するには、支払い側はWEBからの利用でいいが、受取り側はシステム化するか目で確かめる必要があるし、XML情報を理解できなければならない。そういった変換ソフトも必要になってくるだろう。
課題は決して少なくないが、これらが広く使われるようになれば、もっと効率的な商取引ができるようになる…かもしれない。

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